占いで印鑑を変える

イメージ画像

社長の印鑑を押す姿は潔い。
真夏に突然降る豪雨を想像してほしい。
たたきつけられる地面でさえ、おかしくなって笑ってしまうようなそんな雨。
そういう雨に似ている。

いつもはどこにでもいる少しずるくて、小寄りの中小企業の面倒な社長でしかない。
どこにいってるのか、普段から営業先なんていつも不明、そのくせ、手土産代と接待費だけはいっちょまえの社長である。
思い出したかのように売り上げ売り上げと叫び、満足するほど話すと何日もまた通常の日々に戻る。
事務所には経費の精算のためだけに戻ってきてるのではないか、そう思わせるほど信頼していない社長だ。
そのただの社長が代表印を押す瞬間、その一瞬だけ私の眼にはなぜか一流に映る。
だらだらした日常があるからこそ、その時にハッとさせられる。

一週間前に関連会社との会合に出かけた。
関連会社というが、親族兄弟がそれぞれ細々と会社をやっているのが現状である。
その際に、弟分(弟ではなく正式にはいとこである。
いとことはいうものの弟のいなかった社長にとっては一番弟子のように育った)が、印鑑つまり代表印について面白いことを話し始めたらしい。
象牙のハンコに変えたらしい。

すべては占いから始まったらしいのだが、象牙に変えただけで運気が上がって怖いくらいだという話をした。
いつもなら気持ち半分で聞いてる私も、社長のハンコを押す姿を思い浮かべ、一流の姿には一流の印鑑が似合う!となぜか強く思った。
「いいと思いますよ社長。象牙でもなんでも、一流のものは身の回りにあって損することはないのではないでしょうか」などと、珍しく意思を言ったらしい。
目の前の社長は日常から外れた私の態度に驚いている。
運が上がるにせよ上がらないにせよ、何かにかけてみるのは面白いことでスパイスになる。

このページの先頭へ